筋肉質の男は緑色の夢を見るか

シュワルツェネッガーそっくりなおっさんを見た。
筋肉もモリモリだった。
なぜか構えを取っていて、組体操で言うところの「サボテン」、それも下の人が取るべきポーズだった。*1
美しい肉体はそれだけで価値があるものだと常々思っているのだけど、なぜ「サボテン」なのか。
どうやら考えるべき時が来たようだよ、アルメイダ。*2


シュワちゃん似の男が取っていた「サボテン」のポーズに関する考察


・可能性その1:「彼は組体操のスペシャリストである」

彼は組体操をオリンピック競技にするべく、日々鍛えることを自分に課しており、世界諸国を回り武者修業をするストイックな漢である。
今日はたまたま日本へ鍛えにきた帰り、いつか自分が支えるべきパートナーを夢見て思わず構えてしまったところを、たまたま通りがかった僕に目撃された。


・可能性その2:「彼は前衛アートの大家である」

彼は諸国を漫遊し、見聞を広めて新しい芸術の可能性を模索している。
日本の現状を目のあたりにし、突然閃いた。
この東京砂漠を自らの肉体で表現すること、その境地に至ったのである。
皆様は「砂漠」と聞いて何を連想するだろうか。そう、「サボテン」である。
砂漠といえばサボテン、サボテンといえば砂漠。
とかく人の世はステレオタイプだ。
ステレオタイプが高じると差別化された場所に引き越したくなり、どこへ越してもステレオタイプだと悟った時、詩が生まれて画ができる。*3
彼はこの東京砂漠を、自らの肉体を使い「サボテン」で表現し、さらにそんな社会にも下で支える者がいることを表現し切ったのである。


・可能性その3:「実はレスリングの構えだった」

彼は苛立っていた。
職を求め生れ故郷を後にし、経済大国日本へと渡ってきたものの、見せ付けられたのは厳しい現実であった。
英語を話せない同僚、笑いのツボが違うテレビの芸人達、そして不景気…。
彼に手を差し伸べる者は誰一人として現われず、シャイな性格も災いしてか、35歳を過ぎた今も童貞である。
やりきれない気持ちになった時、彼は学生時代に打ち込んだレスリングを思い出す。
 ――さぁ現実よ、かかってくるがいい!
私は逃げも隠れもしない!
全てこの胸で受けとめてやるさ!

青春を回想する彼の体は、自然と構えを取っていた…。


と、ここまで考えてたところではたと思い止まる。
一体僕は携帯電話でメルメルと、何時間も何を書いているのか。
今日という一日を、他人の人生を勝手に妄想することで使ってしまった。
そんな僕はしがない留年学生である。
まずは自分の人生をどうにかしなければならない、と思った。
個人的には、可能性2を推したい。

*1:上の人のポーズだったらタイタニックだが

*2:ショートカットに眼鏡、そばかすがキュートな僕の空想上の助手

*3:夏目漱石草枕」をインスパイヤ